十字路 03/2/10
全くその十字路は奇妙な十字路で、いやひどく歪な角度で交差していたから、正確には十字とはいえないのではないかと思わないでもないが、代わりに何と言えばいいのやら解からないので、便宜上十字路ということにする。交わっている角度も歪なら、道の傾斜も歪で、四本の道の傾斜がそれぞれ異なっており、こうして、交差の真ん中に立っていると眩暈さえ感じるくらいでどうにも始末が悪い。下りの道の一つは、わりあいと急になっておりその先は暗く閉ざされ、何やらうそ寒く、上りの道の一つはゆるゆるとしたものだったが、弧を描いていて、これも先が見えず、何か言い知れぬ不安みたいなものがあって薄気味悪い。残りの二つの道はやがて点になるまで永延と続いており、ただ眺めただけで、うんざりとした気持ちを覚える。
ふと、自分は一体その四つの道のうち、いずれからやって来たのだろうかと思う。そして、いづれに進むべくここにいるのだろうか。いくら考えてもどうにもはっきりしない。
そろそろと忍びよる夕闇の中、数匹の蝙蝠が飛んでいて、はて、以前蝙蝠を見たのはいつのことだったろうかと思うのだが、それもまた当然のように判然としない。
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