風邪曜日 02/10/03
明日の講義は出ない訳にはいかなかったので、珍しく風邪薬なんかを買ってきて飲んだところ、所謂風邪の諸症状は緩和されたものの頭の中がうすらぼんやりしてしまい、そのうえ内田百閧ネんかを病床でつらつら読んでいたのがどうにもいけなかったらしく、頭の中のみならず周り全てがぼんやりとしてきてしまって、軽く咳き込むと口の中から小さな蟹がわさわさと出てくる始末であり、その蟹が枕もとでかちゃかちゃと鋏をならすもので、私は余程逃げ度いと思ったのだが躯がどうにも云うことを聞かず、蟹がゆっくりと私の顔に這い上がってくるのをじっと堪えておく他無く、すっかり蟹が私の顔を覆ってしまってかちゃかちゃと鋏をならしているうちに、玄関の扉が激しく叩かれる音で目が覚め、ふらふらと立ち上がると玄関に向い扉を開けたのだが、そこには誰もいなかった。