キヨコのママ 02/08/28


 どこにでもあるような家庭の夕食の風景。主婦らしき女が食事の用意をしている。
 画面の左側には黒い影。はっきりとは解らないがどうやら人の形をしているようで時折小さく揺れる。

「ねぇ、ママー。パパはまだ帰ってこないの?」
「そうね遅いわね」 (どこかしら顔を伏せながら)
「ねぇ、昨日もパパ帰ってこなかったよ。キヨコ、パパと一緒にご飯食べたい」
「う、ううう」(突然顔を食卓に伏せ泣き出す)
「どうしたのママー? 泣いてるの?」
「ひっくひっく」(しゃくりあげる)
「ママー?」
「さぁ、今日はキヨコの好きなオカラと納豆とメザシよ!」(泣いていたのが嘘なような明るい笑顔)
「わーい! オカラだー!」
「ねー。キヨコはオカラ好きだもんねー」(とびっきりの笑顔で)

 画面左の黒い影がわずかに揺れ母親の注意を引く。
 影にするどい一瞥をくれる母親。そして、くるりと背を向け台所に向かう。

「ああ、かあさん。納豆に入れるネギ刻んでなかったわ」
「ダメだよーママー。納豆にはネギ入れなきゃ―」
「そうね。キヨコ。そうよねー」
 そんな、どこにでもあるような家庭の夕食の風景。

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